漫画読書感想文集

大好きな漫画や様々なことを思ったままに綴っていけたらと思っています。ネタバレも出てくるかと思いますので、連載中の作品を中心によくよくご注意くださいますよう

EDEN

本作は「ハンターハンター」と同じくらい大好きな作品です。この作品を読んだことにより、この作者の遠藤さんの作品は必ず読むようになりましたし、SF漫画も知らぬ間に好きになっていました。

 

 

近未来SFというジャンル

 世界の人口の半分ちかく(実際には半分には達していないらしいが)がウイルス性の病気によって命を落とした今より少し先の未来を描いています。

ただ、その病気のためにロボット工学や遺伝子工学が急速に発展しました。国連(のような組織)や各国政府は一部のみサイボーグに変えた戦士や遺伝子工学によって作り出した”比較的死ににくい兵隊”を誕生させることにより、様々な局面においていさかいを起こします。

キーとなるキャラクターはAIです。今よりもネットワークシステムが発達した世の中ですと、どこにでも侵入でき何でもできるこのAIはほとんど全知全能の神さまのようなものです。

最近、バク宙をするロボットが話題になったことがありました。またAIの分野ではシンギュラリティ(技術的特異点)というワードが頻繁に使われるようになっています。高次脳のAIが自分で更に高次脳の人間の手には負えないAIを作り出してしますことです。

もし、この身体能力抜群のロボットにこの超高次脳AIがダウンロードされてしまったらどうなるでしょうか?もはやこのAIロボットの判断一つで人間は滅ぼされるかもしれません。本作で出てくるAIはそのような可能性を表しているように思います。まあ、このAIはそこまで暴力的で純粋に悪!みたいタイプではなかったですけれどね。

 

この世に”絶対”はない

この作品はとにかく人が死にます。それは物語の主要人物でも変わりはありません。今まで一緒に過ごしてきた重要な人物が平気で死にます。

でもこれって実は、私たちが生きてるこの世界と同じですよね。みんな平等に死を迎えます。テレビに登場する有名人にも世界の片隅でひっそりと暮らしている人にも死は平等に訪れます。この世界には主人公も脇役もありません。

そういった意味で、この作品は近未来SF漫画でありながら、今のこの現実世界をリアルに描いているとも言えます。

 

人間の営みについて描く

もっと言うと「EDEN」では人間がいつの時代でも繰り返してしまう行動・習性を丁寧に描いているように思います。遠藤さんはいつの時代にも起こってしまう地域紛争や宗教による諍い、それらの繰り返しを描きながらも、その渦のただ中にAIや遺伝子工学などの未来の可能性を滴下していったのだと思います。

そうした中に更に登場人物それぞれのバックボーンがオーバーラップされ、物語は深みを帯び、転がっていきます。

世界は変容し、主人公も成長(?)していきます。

 

 

今読んでいるこの場面がよくわからない!

 「EDEN」の登場人物は頭の回転が速い人が多く、セリフもウィットに富んでいるため「これは何を言っているんだ!?」とわけがわからなくなることがよくあります。それでもそのまま我慢して読み進めていくと、次の巻や、次の次の巻などで「あのときの出来事や言っていたことはこういうことだったのか!」とわかったりします。それだけストーリーが深く細かく紡ぎられており、手に汗握る展開が続いていきます。

 

本当に読み応えのある作品ですので、オススメです!