漫画読書感想文集

大好きな漫画や様々なことを思ったままに綴っていけたらと思っています。ネタバレも出てくるかと思いますので、連載中の作品を中心によくよくご注意くださいますよう

クレイモア

この作品はちょっと古い作品です。2001年ころから始まった作品です。当時はあまり知らなかったのですが、最近読む機会があり読んでみる機会があったのですが、とても面白かったです。

 

 

綿密に練られたストーリー

この作品は一人の女戦士が妖魔と呼ばれるものと戦うところから始まります。これってすごく王道のジャンプ漫画のストーリーですよね。この女戦士は”クレイモア”と呼ばれる戦士の一人です。クレイモアの使命は人間を襲う妖魔から人間を守ることです。

で、私は最初「これからクレイモアたちは妖魔たちとのバトルを繰り返して、最終的には妖魔のボスを倒す漫画かな~」とか考えていたわけです。

実際しばらくは妖魔との戦いが描かれていきます。しかし、少しずつ(読者が)妖魔についてわかってくる頃、そこには様々な要素が加わりはじめ、事態は混とんとしてきます。

 簡単には進まない、読み応えのあるジャンプ漫画と言えると思います。

 

 

そして考えられた世界観

ちょっとネタバレになってしまいますが、クレイモアがどうしてクレイモアたるのかというと、これはただ単に戦闘が強いからなれるというわけではなく、実は妖魔の体の一部を移植され、肉体的に普通の人間よりも強くなった戦士のことをクレイモアと呼んでいます。なのでただ単純に剣術が強い普通の人間とは体自体に明確な違いがあります。

そんななかクレイモアたちはプライド(なぜ戦っているのか)をもって生き続けて戦っていっています。要するに人間と妖魔のハーフなんですよね。分類しようとすると非常にグレーな存在になります。そんなクレイモアたちがなぜ人間を守るのか。なぜ人間の側にいるのか。そしてクレイモアは全員が女性なのですが、なぜ女性しかいないのか。この辺も含めて本当にしっかりと考えられていると実感します。

 

 

作品としての長さ

また無限に広げることができる設定にも関わらず、破たんしないところでしっかりと世界をまとめ切っている点もとても好感を持ちました。

正直もっと広げられる、巻数も倍近くにできるであろう要素もありました。でも、作者の八木さんはその選択肢を採らなかった。その要素については作中少ししか触れず、あまり話の中心にはならないままストーリーが駆け抜けました。(ハンターハンターの冨樫さんだったら思いっきり突っ込むようなポイントな気もします。そしてそのまま風呂敷たたまない……)これは個人的には懸命な判断だったように思います。

素晴らしい作品にはその作品に合った適切な話しの長さというものがあると思います。その作品が最も美しく完結する長さ。そこから更にダラダラ続けてしまうと、作品の価値がどんどん下がってしまいますね。商業的な面で、なかなか難しいことかもしれませんが、適切な長さで完結する作品はそれだけで幸せなんじゃないでしょうか。

この作品もその1つであるような気がします。

 

クレイモアは今読んでも全く古臭さはありません。とてもオススメですよ!