漫画読書感想文集

大好きな漫画や様々なことを思ったままに綴っていけたらと思っています。ネタバレも出てくるかと思いますので、連載中の作品を中心によくよくご注意くださいますよう

変身のニュース

宮崎夏次系さんという方の漫画単行本です。1冊に短編作品がいくつも入っていて、そのタイトルが「変身のニュース」といいます。私は村上春樹さんの作品が好きです。その中でも特に「東京奇譚集」という短編小説を集めた作品が好きだったりして、結構短編作品が好きだったりします。なんとなくですけれど作風も似ているような気がします。ちゃんと(?)漫画でいいますと「宝石の国」などを書かれている市川春子さんに近いような気がしています。

ちなみに宮崎夏次系さんがどんな方なのか全く存じ上げておりません。性別もよくわかりません。漫画を読んでいても作家さん自体が気になることってそんなにないのですけれど、宮崎さんは別な気がします。文学作品にはその作者がどんな人なのか知りたくなる種類の作品てあると思います。漫画では少ないですが、それでも数人はいます。でも宮崎さんの情報はあまりみつかりません。

 

 

 自分の内側と他者

「自分は○○なのに」とか他の人からの認識と自分の中身がずれていることってよくありますよね。そういう状況がエスカレートしていって、どんどん辛くなることがあります。この本の中で一番最初の話しが一番オーソドックスで好きです。家族に「お前は優秀で天才で他とは違うのだ」と諭され、そのように学校でもふるまい続け、それが故に生物の個としての一面を外に向けて出せなかった主人公が最後に勇気を出してクラスの女の子に思いのたけをぶつけます。

スピッツの「野生のポルカ」という曲は知っていますか?とっても素敵な曲なので聴いてみてください。逃げ出した家畜のための曲です。

 

 

爆弾

いつも斜に構え俗物的なものにケチをつけて爆破しようとする青年が主人公の第7話。いくら爆破しても心の中の炎は鎮火することはありません。いつも通る道の先では女の子がドブ川で釣りをしています。主人公はその子にもケチをつけ始めます。

やがて主人公の計画が警察の御用になるときがきます。主人公たちの計画は警察にばれていたのです。そんなこんなのどさくさの中、ふとしたことで主人公は爆弾を飲み込んでしまいます。あと3分で死ぬ!そう思った時の主人公の心の中は今まで燃え盛っていた業火とは全く異なるものでした。

自分をだますために色々と理論武装をしても、結局自分はだませない……というか、実は最初からわかっていますよね。最後のほうの入道雲が印象的。

 

 

変身

とまあ、このような感じで「変身のニュース」に登場するキャラクターは皆何かが引っかかり、あるいは何かを押さえつけているところがあります。それがふとしたきっかけで外れ、人の”質”が変わっていくような話しが並びます。広く一般的に使われる表現で近いものを見つけるならば「成長」ということになるでしょうか。これが起こったとき、世界にはさわやかな空気が流れます。

みんな色々と闘っているのに最後はすっきりとするんですよね。

 

それとこれは本当にどうでもいい事なのですが、あの話しのあの子メイドインアビスのミーティに似てるんだよな〜。