漫画読書感想文集

大好きな漫画や様々なことを思ったままに綴っていけたらと思っています。ネタバレも出てくるかと思いますので、連載中の作品を中心によくよくご注意くださいますよう

荒ぶる季節の乙女ども

この作品は去年から連載が始まった作品で、まだまだこれからのどうなるの!?てな作品です。こちらの記事を読まれる方は気を付けてくださいね!

文芸部に入っている女子高校生たちを描いた作品です。 

 

文芸部の女子! 

文学作品ってセックスの描写が多いですよね。しかも色々な作家が色々な表現方法で

描いています。高校の文芸部のメンバーはそういった作品も朗読をします 笑

そうやってかなりとまどいながらも性を意識しつつ、それぞれがそれぞれの荒ぶり方をしていきます。(まだそんなに荒ぶっていないメンバーもいますが)

男性のこと、文学的な立ち位置を取ろうとする姿勢、文学作品と実際の違いをうまくつかめないこと。

これからどのようにストーリーが広がっていくのか楽しみです。

 

 

作画は本当に少女漫画だけど月間マガジン

絵が本当にかわいくて(特に菅原氏!)魅力的なのですが、別冊少年マガジンという少年誌に載っているのが面白いのではないでしょうか。題材が若干少年誌向きなのかもしれません。

ただ一つ言わせていただきたいのは、女子よたとえ幼馴染でも男子高校生の部屋を勝手に漁るのはやめてやってくれ!!(ネタバレ~)

 

 

 

シドニアの騎士1〜3巻

今までは完結している作品については全巻を読んでから感想を書いていましたが(というか以前に読んでいたものを書いていました)、これからは現在進行形で読んだ時点での感想も書いていこうと思います。

 

シドニアの騎士」は以前に紹介しました「BLAME!」の作者、弐瓶勉さんの作品です。弐瓶さんの今のところの一番の長期連載作品みたいですね。3巻まで読みました。

奇居子(ガウナ)と呼ばれる地球外生命体に襲われた人類は地球を破壊され宇宙船でのみ生きながらえている状態となりました。奇居子はその後もたびたび人類(つまりは宇宙船)を襲います。

 

 

SF作家はみな人類を襲う地球外生命体が好き

本作を読んで改めて思うのは、SF作品には地球が未知の生命体(?)によって攻め込まれる話しが本当に多いということです。web版のジャンプである「ジャンプ+」でも今現在、2作品がこのような展開です。そのうちの1つはとっても好きな作品なのでいずれ紹介させていただきます。

地球側・防衛側は若者が機械ロボットを操縦し応戦するパターンが多いです。ただ「ジャンプ+」の1作品(私の好きな方)は若者がロボットを操縦しない代わりにAIが応戦します。これはかなり現実路線ですね。「EDEN」に出てくる科学技術に近い印象があります。

逆に地球攻め込まれ作品の代表である「新世紀エヴァンゲリオン」などは今現在からはかなり遠いところにある科学技術を使用している印象です。でも「EDEN」の作者、遠藤浩輝さんは確か「EDEN」の単行本の巻末で「エヴァンゲリオンにやりたい事をすべてやられた」と書いていたと記憶しています。やっぱりエヴァってすごいんですね。

シドニアの騎士」は、たしかに若者がロボットを操縦するのですが、3巻までの内容ではあまり人間とロボットの繋がりが描かれておらず、どういうロボットなのかまだよくわかりません。それでも出てくる科学技術の内容から考えると、作品自体は「エヴァ」タイプに入ると思います。

それと、攻撃する側はなぜ人類を攻撃するのか。これについても作品によって違いはあるかもしれませんが、どれも説明が曖昧なような気がします。でもこの部分ってかなり重要ですよね。

本作では4巻以降である程度説明がなされると嬉しいなと思っています。

 

 

宇宙を彩る恋愛要素

ここまで読んでいただいてうっすら気付いたかもしれませんが、私は「エヴァ」タイプのものはあまり好きではありません。それでも「シドニアの騎士」を楽しく読んでいるのは、結構作中に恋愛要素が出てくるからかもしれません。その恋心が地球防衛作戦にも影響を及ぼしていきます。

ここでは説明は省きますが、2巻の中で主人公と女の子とのすごく素敵なシーンがありました。よく思いつくな、という。そして、この1件が後々にも関わってきそうな気がしています。こういった恋愛要素が本作を”特別な存在”にしている一つの要因な気がします。

また絵に関しても「BLAME!」より数段うまくなっています。(まあ「BLAME!」の頃の絵も好きっちゃ好きでしたが。)私はミュシャイラストレーターの中村佑介さんのような平面的な絵が好きなのですが、ちょっとそれに近いような絵になりました。

この先も楽しみ。

 

変身のニュース

宮崎夏次系さんという方の漫画単行本です。1冊に短編作品がいくつも入っていて、そのタイトルが「変身のニュース」といいます。私は村上春樹さんの作品が好きです。その中でも特に「東京奇譚集」という短編小説を集めた作品が好きだったりして、結構短編作品が好きだったりします。なんとなくですけれど作風も似ているような気がします。ちゃんと(?)漫画でいいますと「宝石の国」などを書かれている市川春子さんに近いような気がしています。

ちなみに宮崎夏次系さんがどんな方なのか全く存じ上げておりません。性別もよくわかりません。漫画を読んでいても作家さん自体が気になることってそんなにないのですけれど、宮崎さんは別な気がします。文学作品にはその作者がどんな人なのか知りたくなる種類の作品てあると思います。漫画では少ないですが、それでも数人はいます。でも宮崎さんの情報はあまりみつかりません。

 

 

 自分の内側と他者

「自分は○○なのに」とか他の人からの認識と自分の中身がずれていることってよくありますよね。そういう状況がエスカレートしていって、どんどん辛くなることがあります。この本の中で一番最初の話しが一番オーソドックスで好きです。家族に「お前は優秀で天才で他とは違うのだ」と諭され、そのように学校でもふるまい続け、それが故に生物の個としての一面を外に向けて出せなかった主人公が最後に勇気を出してクラスの女の子に思いのたけをぶつけます。

スピッツの「野生のポルカ」という曲は知っていますか?とっても素敵な曲なので聴いてみてください。逃げ出した家畜のための曲です。

 

 

爆弾

いつも斜に構え俗物的なものにケチをつけて爆破しようとする青年が主人公の第7話。いくら爆破しても心の中の炎は鎮火することはありません。いつも通る道の先では女の子がドブ川で釣りをしています。主人公はその子にもケチをつけ始めます。

やがて主人公の計画が警察の御用になるときがきます。主人公たちの計画は警察にばれていたのです。そんなこんなのどさくさの中、ふとしたことで主人公は爆弾を飲み込んでしまいます。あと3分で死ぬ!そう思った時の主人公の心の中は今まで燃え盛っていた業火とは全く異なるものでした。

自分をだますために色々と理論武装をしても、結局自分はだませない……というか、実は最初からわかっていますよね。最後のほうの入道雲が印象的。

 

 

変身

とまあ、このような感じで「変身のニュース」に登場するキャラクターは皆何かが引っかかり、あるいは何かを押さえつけているところがあります。それがふとしたきっかけで外れ、人の”質”が変わっていくような話しが並びます。広く一般的に使われる表現で近いものを見つけるならば「成長」ということになるでしょうか。これが起こったとき、世界にはさわやかな空気が流れます。

みんな色々と闘っているのに最後はすっきりとするんですよね。

 

それとこれは本当にどうでもいい事なのですが、あの話しのあの子メイドインアビスのミーティに似てるんだよな〜。

 

ソフトメタルヴァンパイア

「EDEN」の遠藤浩輝さんの連載最新作です。もう最初から楽しみでした。

 

 

長期連載3作目(になる予定)

今回は遠藤さんの3作目になるわけですが、前回前々回はまあSF要素などもありつつも現実と地続きというか、特に「オールラウンダー廻」はそうですが現実に起こりうる世界扱っていましたが、「ソフトメタルヴァンパイア」に関しては完全にファンタジーの世界になりました。

なにしろ吸血特性のキャラが出てきますし、地球上の元素を使うという”超能力”も出てきます。人間とは寿命の長さも違います。ファンタジー作品を描くことによって、遠藤さんはどこまで世界を妄想し、表現できるかということについて挑戦していくのではないでしょうか。

 

 

「EDEN」ファンからすると今はまだ何も始まっていないとしか考えられない

ちょっと前まで本作で繰り広げられていたシザレイン領域の脱出作戦は、やはり「EDEN」序盤のプロパテール連邦領域からの脱出作戦を思い起こさせます(もしくはマナ奪還作戦にも近いですが)。つまり物語としてはようやく転がり始めたかな、という程度でまだまだこれから面白くなるのではないかという期待が大きく膨らみます。そして人がたくさん死ぬのだろうな、と……笑。ちなみに今までの3作を見ると、2作目の「オールラウンダー廻」は現代の格闘技を扱った作品なので一人も死ぬことはありませんでしたが、1作目の「EDEN」はたくさん人が死にます。そしておそらく本作もたくさん死ぬでしょう。(もう既に幾人か無くなっていますが)。

「EDEN」のときのマナ奪還作戦を考えても、全くもって主人公側の有利にだけ事が運ぶとは考えにくいわけです。

これから先、どのような物語になるのか本当に楽しみです。

 

 

地球上に存在する物質「元素」を扱うという能力

今回のメインキャラ達は元素つまりはそこら辺にある物質を自由に支配することができる能力を持っています。そして扱える元素の種類がキャラによって変わってきます。私たちには様々な物質が存在しています。なので本作のキャラ達はどの物質を使ってどのように戦うかが重要になるのかもしれません。

しかし、よくよく考えますとどのような物語の超能力でも本を正せば、元素を扱っていると言えるのかもしれません。何かを放出したり、創出したりする能力って結局、物質をコントロールするということですよね。そういう意味では「ハンターハンター」とはまた違った角度からの能力の規定化なのかもしれません。そしてこの能力の規定化という要素がいつも私を楽しませてくれます。

 

この能力、様々な勢力のぶつかり合い、それらが絡み合うこれからの展開がますます楽しみです。

 

BLUE GIANT

サックスプレーヤーの成長を描いたジャズ音楽を扱った漫画です。今、とっても人気のある作品ですよね。国内編が終わり、海外編が始まっています。

 

 

練習、練習、他者との化学反応

仙台の高校生だった宮本大(主人公ですよ)は、ジャズミュージックの魅力に取りつかれ日々の練習を繰り返し上達していきます。大の才能を見抜いた大先輩サックスプレーヤー、才能あふれるピアニストなどとの出会いが大の成長を加速させます。舞台は仙台から東京、更にはヨーロッパに移っていきます。

のだめカンタービレ」もそうでしたが、この作品の主人公もとにかく練習します。いつでもどこでも練習、練習、練習……。音楽漫画はこうでなくちゃいけません!

練習し続けて少しずつ世界一のジャズプレイヤーに近づいていきます。(たぶん近づいてます)ていうか年越しの夜、雪が降り積もる川原でたった一人練習できる自信あります? 

そして才能ある他者とバンドを組みます。この辺の描写はすごくテンションが上がります。その辺でテキトーにやっている奴らの追従を許さない、ストイックに音楽を追及をしている者同士の音楽と音楽のぶつかり合いです。どれだけ凄いことが起きているのだろう。勝手に血沸き肉躍ってきます(笑)しかも国内での活動の後に海外へも出ていくので、バンドの結成シーンを2回楽しめます!

 

惹きつけられる演奏シーン

BLUE GIANT」のコンサートでの演奏の表現方法がとても好きです。音楽漫画は演奏シーンをどのように表現するのかもポイントの一つのような気がします。「BECK」は主人公が声を出した瞬間にオーディエンスの注目が一気に集まる集中線を使って、どれだけすごいボーカルなのか、ということを表現していました。

 「BLUE GIANT」はいくつもの音符が描かれるシーンがあります。とにかく音符、音符、音符、ひたすら音符の嵐でしつこく繰り返す怒涛ような演奏を表現しています。見開きが全部音符で埋まっていることもありました。圧巻です。

 

 

国内編の結末に疑問も残る、しかし疑問が残るということはいい作品の証明

しかし、私は国内編の最後は果たしてどうだったのかな、と思いました。主人公が海外へ行くため、ストーリーを変化させるための”装置”としてあのような出来事が必要だったのかもしれません。しかし、本当に他に方法がなかったのでしょうか。「のだめカンタービレ」も国内編→海外編という流れで、こちらは千秋の飛行機トラウマが海外へ行く”装置”として機能していました。まあ、これはちょっと奇抜すぎるとしても、もう少し何か考えてほしかった気はします。

とは言えここまで、○○してほしい、と考えてしまう作品ということはそれだけ魅力的な作品であると言えます。私はこれからも注目していきますし、とっても楽しみな作品でもあります。最新巻も面白かった。

 

ROUTE END

「ジャンプ+」で連載しているサスペンス漫画なのですが、これがすごく面白い。

特殊清掃員という仕事に携わる人たちの周りで殺人事件が起こります。それを発端とした人間関係や過去のできごとなどが絡んでいくという展開です。というかまだまだ連載途中なので、どちらかというと「これから更に絡んでいくことが予想される」作品ですが(笑)

特殊清掃員とは遺体が発見されたアパートなどを清掃・修復する仕事ですので、死体に遭遇する確率は普通の人よりは高いのかもしれません。そのような設定はサスペンス物語の舞台としてすごく自然なように思えます。(金○一やコ○ン等とは違うというか……)

 

 

緊迫感のあるストーリー

初回から殺人事件から始まり、主人公の周囲の人間にも被害者が出ます。正直言って先が読めないので(他の方はどうかわかりませんが、とりあえず私は全く先が読めません……)、かなりハラハラさせられます。なんていうか「殺されるフラグ」が立ってる人もいて、そこでフラグ通り殺される場合もあればそうではない場合もあり、でさっぱりわからないんですよね。

もうかなり先が見えているという方もいらっしゃるかもしれませんが、正直言ってまだまだ全然わかりません。かなり関係も複雑化してきています。

 

人間味あふれる登場人物

主軸であるサスペンス展開がなかなか理解しきれていないにも関わらず、私が本作を楽しめているのには、この作品のサスペンス要素以外の部分が大きいです。清掃会社の社員たちはなかなか特徴的なメンバーが揃っています。彼らは色々な問題を抱えながらもこの会社で働いており、この仕事をしている意義、そしてこの仕事をすることによってある種の癒しを得ています。

また最近要注目になっていきているのが、警察の人たちです。くせのある刑事さんが何人か登場しており、その刑事さんたちの推理していく能力に素晴らしいものがあります。最近の展開など普通では思いつかないような捜査のシーンがあり、それは本当に熱くなりました。またそれに反して描かれる家庭でのひんやりした状況もこれはこれで……

まあ、この辺はまだまだこれからの展開なので今後がとても楽しみです。

 

 

実写映画のような絵

最初に特殊清掃員という仕事が設定としてとても自然であると述べましたが、この作品はこの自然さというかリアルさが一つの魅力のように思えます。

絵に関してですが、これがとてもリアルで(ただ単に写実的というわけでもなく)、かなり好きです。すごく大事な場面での描写が実写映画の1シーンのようになります。迫真の演技のように迫ってきて、場面にくぎづけになります。あまり他の漫画ではないのではないでしょうか。

 

「ジャンプ+」はインタネット上で一部無料で読めますので、試しに読んでみるのもいいかもしれませんよ!

 

オールラウンダー廻

EDENの作者と長期連載2作品目。総合格闘技に関わる人々を取り上げています。とにかく格闘技を行っているシーンが多く、かなり具体的に描かれている(と思う。私はちょっと格闘技に疎いので確かなことがわからないですが)。

 

 廻(めぐる)と喬(たかし)

このタイトルの廻は「めぐる」と読みます。少年時代に一緒に空手をやっていた廻と喬が高校生の年齢になり(喬は高校に行っていないようですが)格闘技の世界で再び出会います。「再び出会う!」と言っても、そんなに劇的なものではなくて、お互いが格闘技をたまたまやっていたからです。

この2人の格闘技に対する姿勢は全く異なるものがあります。廻は以前に空手をやっていたこともあって、なんとなくその繋がりで趣味として格闘技を始めたという感じですが、喬は格闘技で食っていくと決めて取り組んでいます。それはプレースタイルにも表れていて、喬は圧倒的な実力で相手をねじ伏せる戦い方をしますが、廻はあまり特徴がないというか、ごちゃごちゃやっているうちに勝っちゃうスタイル(?)なんですよね。

廻は体勢の変化が起こる際になぜか有利なポジションをとることができたり、相手の技を比較的短時間にコピーしてしまうなど器用さが目立ちます。試合数を重ねるごとに少しずつ強くなっていく廻ですが、このプレイスタイルのせいもあり、喬は廻の活躍に対してどこか苛立ちのようなものを見せるようになります。廻に強くなってほしいと思う反面、ある種の”違い”をわかってほしいと願っているようです。

所属が異なるということもあり、作中の大部分において二人の会話シーンはそれほど多いわけではありまえん。廻はちょっと話したそうですが喬から話すことはほとんどありません。

しかし喬の中で廻の存在が大きくなっていきます。それが幼馴染だからなのか、プレースタイルへのいら立ちから来るものなのか何なのか……もしかしたらそれら全てを含んだものかもしれません。しっかりと描かれているわけではありませんが、喬は廻と対戦することになったら絶対に勝つ、という思いを少しずつ強くしていったはずです。

 

 

なぜ格闘技をするのか

豊富で緻密な格闘技シーンが描かれる本作ですが、この作品の中にはそれ以外のテーマも多く提示されているような気がします。

なかなか格闘技で食べていくことが難しい日本で格闘技を続ける意味はなんなのか。強さとはなんなのか。東日本大震災の被災地域での格闘技イベントも出てきます。格闘技ができる地域貢献とは何なのか。イベントを行うだけでなく被災地域でジムを運営されている方もいて、一人ひとりの格闘技との関わり方の違いも描かれます。

最初は趣味で始めたとしても、少しずつ試合に出はじめて夢中になり、どんどん強くなったときに果たしてプロを目指すのか、どこかに就職するのか。結婚して家族が増えても続けるのか。

果たして廻は強くなった先で、どうするのか。

(でもなんだかんだ作中で格闘技をやめちゃった人はいないよな)